ELECTRIC VEHICLE
研究環境紹介動画
電気自動車の普及を目指して
環境に対する意識から世界中で電気自動車が注目されています。
電気自動車はモータを使用しているため,従来の自動車と比べ高い応答性能を有しています。
通常の電気自動車はオンボードモータと呼ばれる方式を取っており,ギアやシャフトなどの機構を通してモータの動力をタイヤに伝えています。
しかし,オンボードモータは部品が多いため重量がある,ギアの影響があるなど様々な欠点を有しています。
そこで,当研究室では,ホイールの中に直接モータを埋め込む,インホイールモータと呼ばれる機構を有している電気自動車の制御について研究しています。
当研究室は2台の電気自動車を所有しております。1台目は,完全オリジナル電気自動車「FPEV-2 Kanon」(右の赤い車両)です。安全性の高い運動制御の実験検証車両として主に使われています。4輪独立駆動や全後輪操舵なのが自慢です。2台目は三菱iMiEVをベースにした電気自動車「FPEV-4 Sawer」です。足回りを交換,比較検討できるだけでなく,最近は走行中給電の実験検証にも使われています。
以下に,いくつかの電気自動車の運動制御の例を紹介いたします。これまで数々の研究がなされてきましたが,その代表が,滑りやすい路面での車両姿勢制御やスリップ率制御です。
車両がスリップする時,車体のバランスは崩れヨーレート(スピンさせようとする力)が発生します。
このバランスを保つようにそれぞれのホイールを動かしてあげれば,理論的には姿勢を保ち,かつスリップを防ぐことが出来ます。右の図では,そのヨーレートを適切な値に制御し,車体のスピンやアンダーステア(カーブの外側に膨らんでしまうこと)を防ぐことができます。
他にも,各輪の負荷率を考慮することで各輪を最大限に使用し,障害物回避距離を短くする研究や(右図がその例です),航続距離延長自動運転という,詳細な電力モデルに基づく自動運転でのエコドライビング(下図がその例です)なども研究されています。
車両重心軌跡
この他にも,
・スリップ率制御
・駆動力制御
・配分制御
・ピッチ・ロール制御
・駆動力による旋回
など,様々な運動制御を開発してきました。これらの紹介は今後アップデートしていきたいと思います!
Human Friendlyな電気自動車の開発
「どんな自動車が欲しいか」という問いの答えは,時代によって大きく異なります。馬力や燃費が求められた時代もありましたし,最近では自動運転やEV(電気自動車)に関するニュースをよく耳にします。ではそのさらに未来ではどんな車が求められるのか。「人や社会と親和した車」が一つのキーワードになるのではないかと言われています。
V2G (Vehicle to Grid)やV2H (Vehicle to Home)はその代表的な例です。これは 発電所だけではなく,EVの充放電や家庭での太陽光発電も電力網として含め,停電に強く,効率のよい電力システムを作り上げようという思想です。 このような背景もあり,EVが排気ガスを出さないことに着目し,屋内で自動車を利用しようという取り組みも着目されています。
そこで,より人間に寄り添ったヒューマン・フレンドリーな自動車を作ろうと考え, ロボットに使われる「力制御」を使って「手で押せる車」を作りました。駐車が苦手な人が手で押して位置調整したり,「(ゆっくりなら)ぶつかっても痛くない車」が実現できました。